腰椎椎体骨折・圧迫骨折
症状
- 骨粗鬆症に起因して骨の弱くなっている(脆弱性が存在)とき生じるものでは、胸腰移行部に生じることが多く疼痛が軽度のこともあります。しかし、尻もちなどの明らかに外力が加わったものでは、通常は骨折のある部位の疼痛を伴います。いくつもの場所に多発性に椎体骨折が生じると背中が丸くなり(円背)、身長が低くなります。
- 腫瘍などの転移によるものは、骨折部の体動時の痛みのほかに安静時にも痛むのが普通です。強い外力により生じた場合は、他の骨軟部損傷を伴うことも多く、脊髄損傷を生じる場合もあります。部位にもよりますが、胸腰移行部に生じた場合、重症では両下肢麻痺を生じるなど、様々な症状を呈します。
病態
- 骨粗鬆症に起因して生じるものは、中腰や重いものを持つなど胸腰移行部に力が集中して骨折することもあります。尻もちなどの外力でも力が集中したところの椎体の前方がつぶれくさび形になります。
- 腫瘍などの転移によるものは、主要が転移した部が弱くなって軽微な外力で骨折(病的骨折)します。強い外力により生じた場合は、椎体前方だけで済む場合もありますが、脊椎椎体が後方要素を含め、全体につぶれて不安定になり、脊髄の通り道(脊柱管)に及び、脊髄の麻痺を生じることがあります(脊髄損傷)。
経皮的椎体形成術(BKP)
骨折によりつぶれた背骨に、背中から細い針を挿入し、圧迫骨折した椎体の中でバルーン(風船)を膨らませて、つぶれた骨の形をできる限り元に戻した後、医療用の骨セメントを注入します。圧迫骨折の痛みを取り除き、曲がった背骨を矯正します。
- 手術データ
- 麻酔全身
- 手術時間40分程度(1椎体)
- 手術創約0.5cm×2ヵ所
- 入院期間5日間程度
- 術後の効果
- 切開せずに針を刺すだけで行なう手術であるため、心身への負担が少なく、治療後の長期安静も不要です。痛みの早期軽減が期待できます。
後方脊椎固定術
腹臥位(うつ伏せ)で行ないます。筋肉を分けて椎弓根にスクリューを刺入し、上下のスクリューをロッドで繋ぎ止めます。骨折の程度が激しい場合はレントゲン透視下にて整復を行います。
- 手術データ
- 麻酔全身
- 手術時間2時間(1椎体)
- 手術創約2cm×8ヵ所
- 入院期間2週間程度
- 術後の効果
- 上下の骨を固定することによって、骨折した部分がくっつくようになり、骨への圧力もかからなくなるため、神経への圧迫がなくなることから、痛みの軽減と早期回復が期待できます。